耐火性能が高いウッドパネル工法とは

ウッドパネル工法は、従来の伝統的な木造住宅の木造軸組工法と、近年登場した2×4工法を組み合わせたハイブリッド建築方法になります。柱と梁を張り巡らせて線で建物全体を支える軸受工法と、2×4の枠組みにパネルをはる2×4工法、それぞれの特徴を取り入れている工法です。ハイブリッド工法と呼ばれたり、ハウスメーカー独自の名称が付与されたりすることもあります。伝統的な木造住宅の間取りの自由度と、2×4工法の耐震性能や断熱性の高さなどのメリットを取り入れていることから、最近人気を集めています。もっともウッドパネル工法は軸受け工法をベースにした建築方法で、柱と梁を組むと言う基本構造は同じです。柱の間にパネルをはるので、2×4工法と見た目は類似していますが、あくまで木造軸受け構造の発展形という点を確認しておきましょう。

従来の木造住宅では、風通しがよく湿気がこもりにくい反面、気密性能や断熱性能には難点を抱えていました。柱と梁を組み合わせることですき間ができてしまい、気密性や断熱性は劣ってしまうわけです。この欠点も、ウッドパネル工法では石膏ボードなどのパネルを張ることで大きく改善されました。壁面・梁や柱などの各面を石膏ボードで覆うことで、機密性も十分に確保できます。石膏ボードのおかげで外気を遮断し、断熱性能が高くなるばかりか、石膏ボードの間にグラスウールなどの断熱材を敷き詰めることで、さらに気密性と耐火性能を大幅にアップすることが叶うわけです。しばしば大火で木造住宅が消失した歴史がある日本では、グラスウールなどのリーズナブルな素材で耐火性能も充実している工法はメリットが大きいでしょう。

ところで、従来の木造住宅では耐震構造が脆弱との指摘がありました。現に過去の大震災の際には数多くの木造住宅が倒壊し、大きな被害をもたらしてきたわけです。軸受け構造でも筋交いなどの耐震構造をアップさせる仕組みが採用されているものの、地震の揺れが木材の接点に集中してしまいます。そのため、強い揺れに耐え切れなくなり、震災時の倒壊被害につながっています。

その点、ウッドパネル工法では、筋交いの変わりに石膏ボードを貼ったり、制震システムと組み合わせたりすることで耐震性能をカバーしています。もっともハウスメーカーごとに、制震システムを設置しているか否かはまちまちです。耐震構造の基準になるのが耐震等級ですハウスメーカーごとに仕様はちがっているので、地震対策は耐震等級を客観的基準として判断することおすすめします。

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